「月に繭 地には果実 -from Called "∀" Gundam-


データ
本のタイトル名 著者名 出版社 定価
月に繭 地には果実(上) 福井 晴敏 幻冬舎文庫 648円(税別)
月に繭 地には果実(中) 648円(税別)
月に繭 地には果実(下) 686円(税別)


感 想

 結局、連続して福井さんの作品を読む事になってしまった、本作品(笑)
しかし、今までの作品とは違う。
サブタイトルを見れば解ると思うが、本作品は「∀ガンダム」(ターンAガンダム)の話である。

 話は月に住む月の民(ムーンレイス)が地球に降下し、そこに住もうとする所から戦争が勃発すると言う話。
驚いたのは、TVや映画で世に出ているアニメの「∀ガンダム」とは違っていると言うこと。
序盤に関しては、アニメとほぼ同じなのだが、少しずつ違いが出てくる。
その小さな違いが先に進むごとに幅を広げていき、最後にはアニメ版とはまったく違う結末を迎える事になる。
 アニメと本作品はどちらが本当でどちらが偽物っていう低レベルな話は出来ないと思う。
普通、アニメを本にすると、内容がチープになり、普通にアニメを見ているのと同じって感覚になる。
ところが、本作品は違っている。
 本作品は富野監督から初期の企画書を渡されて福井さんが書き上げた「もう一つの∀ガンダム」だから。
それはアニメの放送と平行で書かれたものらしい。
その時期は、「Twelve Y.O.」が江戸川乱歩賞を貰い、また「亡国のイージス」が店頭に並ぶ前の事らしい。

 謎だらけの始まりなのだが、それを一つ一つがゆっくりと明確になっていく。
アニメを見ているだけでは「なんで?どうして?」が多く残った印象だったのだが、この本を読むことによって全て納得出来るようになった。
 アニメ版は富野監督の意志が強く入っており、それは「エゴ」とも思える内容になっていた。
それは「ニュータイプを排除する」事であり、「映画的手法で作りたい」という事で有った。
そのために、意味が解らない部分も多く存在し、「ターンX」で使われている「サイコミュ」や「ファンネル」などの説明が付かない。
 本では「ニュータイプ」という概念も出てくるし、それは明確に説明されている。
「こうだから、こうなる」という事を描写しており、自分の中でちゃんと消化することが出来る。
そういう意味では、本作品は富野監督の「∀ガンダム」よりも「∀ガンダム」らしいと言えると思う。
それもそのはず。

 面白いと思ったのは、この作品にも「あれ」や「Tプラス」が登場する事。
あぁ、やっぱり福井さんの作品なんだなぁと思えてしまい、ちょっとにやけてしまった(笑)
何処まで行っても自分らしく作品をエンターテイメントして世に出す人だなと思う。
 そして、最後はやはり絶望で終わらずに、希望で終わっていった。
ちょっと気になるのは、アニメ版の「∀ガンダム」を見たことが無い人が本作品を読んだときに、どのような印象と感想を持つのか興味が有る。

※しかし、この本を探すのは大変だった(^^ゞ
何処に行っても置いてないんだもん。
手に入れられたのは運が良かったのかもしれない。


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